子どもから大人まで柏原の歴史を無料で学べる「柏原市歴史資料館」

「柏原市歴史資料館」は、2022年に開館30周年を迎えました。
柏原市の小学校に通っている子どもたちは、学校から校外学習で訪れることが多い場所なのですが、私が柏原市に引っ越してきたのは20歳を過ぎてからだったので、実は今回初めて訪れました。

開館から30年以上経っているということで「かなり古い建物なのでは…?」と思いきや、とてもきれいな資料館でした。

身近な地域の遺跡や古墳があったことに驚いた!

入口を入って最初に目についたのが、この大きな壺です。
これは『須恵器(すえき)』という名前で、古墳時代中期の土器です。
これは柏原の大県遺跡から発掘されたものなのですが、欠けたり割れたりすることなくきれいな形のまま残っていたのは奇跡だと言えます。

次に目についたのは、大きな『遺跡分布模型』です。
柏原市全体の模型図に遺跡の場所が全て示されています。

模型図の前には、たくさんのスイッチが並んだパネルがあって、見たい遺跡の名前のボタンを押すと模型図の街頭の場所が光るしくみです。
自分が住んでいる地域に遺跡や古墳があったのかを調べる事も出来ますね。

模型図の横には、紀元前の旧石器時代からの柏原市の歴史が年表として掲示されています。
その年表を見ると、旧石器時代に玉手山や大県に旧石器人が存在していたり、村や農耕文化も存在していた事がわかりました。

鎌倉時代になって太平寺や法禅寺(現在は『法善寺』)に新しい寺院が出来たことや、明治時代には大阪鉄道(現在のJR関西線)と河南鉄道(現在の近鉄南大阪線)が走っていたという記述にはかなりビックリしました。
JRの前は国鉄と呼ばれていたのは知っていましたが、国鉄の前の時代があって大阪鉄道が存在していたことは全く知りませんでした。

『柏原村』から『柏原町』になったのが大正時代、そして現在の『柏原市」になったのは太平洋戦争が終わった10年後のことだったそうで、柏原の歴史がこんなに古いものだと思っていなかった私にとって、かなり興味深い内容ばかりでした。

私は、遺跡や発掘物に関して詳しい方ではないのですが、「柏原市歴史資料館」に展示されているもののほとんどがかなり保存状態が良いと思います。

例えばこの埴輪。
これは正式名称を「鰭付楕円形埴輪(ひれつきだえんけいはにわ)」と言って、古墳時代のものだそうです。
発掘された埴輪の中でもかなり大きいものなのですが、2体とも割れてしまった箇所を原型に忠実に繋ぎ合わせてあります。
発掘場所から、割れ落ちた欠片を可能な限り拾い集めて、丁寧に修復されたものなんだろうなぁと見入ってしまいました。

下の写真の色々な形の埴輪を見ていただくとわかりやすいと思いますが、小・中学校の社会や歴史の教科書にも載っていた埴輪に比べて、上の写真の埴輪がかなり大きなものだとわかりますよね。
ただ、下の写真に写っているたくさんの埴輪もとてもきれいな状態でした。

この模型は「平尾山古墳群」、現在の太平寺で発見された古墳群なのだそうです。
堅下南中学校建設予定地から安堂を中心に作られた模型です。

これまでに約1500基もの小さな古墳が発見されているということです。
柏原には「横穴」と呼ばれる「古墳時代のお墓」がたくさんあります。
山や丘陵の斜面を掘って横穴を開けて、横穴式石室が多数作られていたようです。
この模型を見るとよりわかりやすいと思いませんか?

更に、横穴古墳を再現した模型も横からでも上からでも見ることが出来るので、昔の人たちがどんなふうにお墓を作ろうとしていたのか理解しやすいと思いました。

『むかしの暮らし、その道具』冬季企画展でわかる昔の暮らし

みなさんは時代劇や戦時中を描いたドラマで家電製品がなかったころの生活の様子を見たことはありませんか?
例えば、洗濯機がなかった時代に桶と洗濯板を使っていたり、水道の代わりにそのつど井戸水を汲んで使ったり、かまどに薪を入れてお風呂を沸かしたり…。
私はそういうシーンを観るたび「便利な家電製品や道具のある時代に産まれて良かった」と思う程度で、ドラマや映画の中で出てくる昔の道具について詳しく知ろうとしたことはなかったんです。

ところが、今回「柏原歴史資料館」を訪れたところ『むかしの暮らし、その道具』という企画が行われていて、100年以上前に実際に使用されていた道具を見ることが出来ました。

これ、何に使う道具かわかりますか?

実は、アイロンなんですよ。
『ひのし』という道具で、お皿のくぼんだところに炭火を入れて底の方を布に当てて使うそうです。
資料館に展示されている『ひのし』は古墳時代のものだそうです。

これを見た後に放送されていたドラマで姫様が懐紙を作るために『ひのし』を使っているのを見た時は、おもわず「これ!資料館で見たやつ!」と家族に話しました。

では、次の写真に写っているものを見てどう思われましたか?
木製の冷蔵庫があったことに驚きませんでしたか?
木製の扉の中にはブリキやトタンの薄い板が貼られていて、断熱効果が得られるようになっています。
そして上の段に氷の塊を入れて、下の段に食品を入れ、氷の冷気で内部全体を冷やすしくみです。
現在のクーラーボックスのような感じですね。

令和6年3月3日までの展示になりますが、この他にもかまど・せいろ・ご飯を炊くための羽釜の展示もありました。
実際にすぐそばで見る『むかしの道具』は使用感があって、とても興味深いものばかりでした。

この他にも『豆炭あんか』や『こたつ』の展示もありました。
今は、電子レンジで温めて使う湯たんぽや電気あんかがよく使われています。
こたつも専用のこたつテーブルにこたつ布団をかけて使いますよね。
昔は、金属製の容器に豆炭を入れてあんかとして使っていたり、木で組んだやぐらの中に豆炭あんかを入れてこたつとして使っていたそうです。

柏原市の産業の歴史を知ることも出来る

柏原市はぶどうやワインが有名な町で、ぶどう農家やワイナリーがたくさんあります。
今は、ぶどうを手作業で収穫して房を丸ごと専用の機械に入れ、茎や枝から果実だけを取ってから発酵・熟成させる方法で作られています。

でも当然、昔は全て手作業で行われていました。
柏原市で大正時代から使われていたワイン作り用の道具も展示されています。
ぶどうの収穫からワインの樽に詰めるまでに数種類の木製の道具が使われていて、樽に入れてねかしてワインが出来るんですね。
ワインの瓶に詰めたあとは王冠で蓋をしていたようで、昔はコルク栓ではなかったこともわかりました。

ワイン以外にも柏原市にはおかきやあられを作る産業もあったということで、手作りのおかきやきりこと呼ばれる小さなあられを作る道具や作り方などが紹介されていて、柏原市の産業の事がよくわかりました。

柏原市を流れる大和川が人工の川だったことにビックリ!

大和川は奈良盆地から大阪平野を通り大阪湾まで流れている川です。
飛鳥時代、大和川は交通路として大変重要な水路だったようです。
大和川は産業や文化の発展にとても大きく関わっていたということですね。

でも、昔の大和川には大きな問題がありました。
それは、大雨のたびに起きる「洪水」です。
大和川の洪水で家が流されたり、亡くなった方もかなり多かったそうです。
今から約300年前、大和川の付け替えを願った農民たちの嘆願で付け替え運動が起こった結果、現在の柏原市役所の辺りから大々的な付け替え工事が行われたということです。

下の写真は、当時の大和川付近を描いたものなのですが、うす茶色の付箋のところは洪水が起きた場所や地域が書き込まれています。
この図面が作られたのは1960年代、今から約60年も前の図面がきちんと残っているのに驚きました。

そして次の図面が付け工事完成後の大和川です。
図面に書き込まれた手書きの「大和川」の文字や柏原市の昔の地名を見ながら、知っている地名や場所を探しました。

資料館へのアクセス

「柏原市歴史資料館」はJR大和路線の高井田駅から徒歩でも約5~6分なのですが、目の前にバス停もあります。
近鉄大阪線河内国分駅からだと少し遠くなるので国分駅東口から市内循環バスに乗って歴史資料館前で下車すると便利です。
専用の駐車場は7台分のスペースがあります。
資料館の入口は階下にありますが、車椅子やベビーカーでも利用できるスロープがあるのでどなたでも安心してご利用いただけると思います。
トイレは施設建物のほぼ中央にあり、とても清潔感のあるきれいなトイレでした。
そしてこの資料館は入館料無料で利用できるので、ご家族全員でも気軽に利用できますね。

今回紹介できたのは展示の半分もないのですが「百聞は一見にしかず」と言います。
特に歴史に興味がない方にも一度見学に行っていただきたい施設です。
参加型のイベントの企画もいろいろあるので、参加希望の方は柏原市のHPで確認して申し込みをして下さいね。

柏原市歴史資料館
住所:大阪府柏原市高井田1598-1
アクセス:近鉄大阪線「河内国分駅」より徒歩約15分
     JR大和路線「高井田駅」より徒歩約5分
    (車の場合第1駐車場は、大阪府柏原市円明町14−2をナビで検索)
電話番号:072-976-3430
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)、年末年始(12月29日~1月3日)
定休日:月曜日(祝日は開館)

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。