地元の日常に溶け込む世界遺産「津堂山城古墳」/藤井寺

南河内地方にある藤井寺市は、大阪市へのアクセスの良さからベッドタウンとして注目を集める一方、歴史深い街でもあります。

2019年には、古市古墳群が世界遺産に認定され、全国で有名になりました。今回は、その古市古墳群の中で最北端に位置する津堂山城古墳をご紹介します。

住宅街に溶け込む世界遺産

藤井寺駅から歩いて約15分。津堂の住宅街を進んでいくと、小高い丘が見えてきます。

津堂城山古墳は、住宅に囲まれた立地が全国的にも珍しい前方後円墳です。

この古墳は紀元4世紀ごろに築造されたもので、第19代天皇である允恭天皇が被葬者と想定されています。

また、室町時代にはこの場所に山城が築城されていたと伝えられており、それが津堂城山古墳という名称の由来となっているそうです。

歴史的価値の高い史跡でありながら、特別な入場制限はなく、誰でも自由に散策できるのが魅力のひとつ。ただし、墳丘の頂上部分は柵で囲まれており、宮内庁が陵墓参考地として管理しているため立ち入ることはできません。

現在は、敷地内にある公園や全長約850メートルのウォーキングコースとともに、地域の人々が身近に自然と歴史に触れられる場所として親しまれています。

取材で訪れた日も、犬の散歩を楽しむ方や、自由に散策する地元の方の姿が多く見られました。

古墳内に広がる憩いのスポット

正面へ回ると、まず目に入るのは神社の鳥居です。

後円部の北側中腹にある津堂八幡神社です。こちらも歴史ある神社で、戦国時代に創建されたという説も伝えられています。

神社のすぐそばには公園があり、ブランコやすべり台といった遊具のほか、広々としたグラウンドも併設されています。

子どもたちに人気なのはもちろん、家族でのんびり過ごすのにもぴったりの場所です。

そのグラウンドから前方部の頂上までのぼってみました。上からみると、古墳の周辺は住宅街になっていて、世界遺産が日常に溶け込んでいるのがよくわかります。

かつて外濠だった場所は、現在は花菖蒲園として整備され、春には花菖蒲やスイレンといった水中植物が楽しめるようです。

また、周囲には草花園もあり、コスモスや桜といった四季折々の花を楽しめます。

史跡城山古墳ガイダンス棟「まほらしろやま」

古墳の敷地内には、出土品を展示しているガイダンス棟「まほらしろやま」が併設されています。12月28日から1月4日以外は、午前9時から午後4時まで開館しており、無料で利用できます。

建物の外には、発掘された石棺を再現したレプリカが鎮座しており、近づいてみるとその迫力に圧倒されます。解説によると、これまでに出土された石棺の中でも特に大きく、精巧につくられているそうです。

施設内では、はにわをはじめ、須恵器や土師器などが展示されており、壁には古墳や出土品にまつわる解説パネルも並びます。ここで予備知識を得てから散策すれば、古市古墳群への理解がより一層深まります。

今回初めて津堂城山古墳を訪れてみて、「歴史的な場所」や「世界遺産」と聞いて想像していたような堅苦しさはなく、むしろ親しみやすい地域の憩いの場という印象を受けました。敷地内に公園があることからもわかるように、散歩や休憩など、気軽に立ち寄れる場所です。

また、住宅街の中にありながら、豊かな自然に触れられる貴重な場所でもありました。墳丘では本格的な登山のような装備は不要で、四季折々の花を愛でながら自由に散策できるのも大きな魅力です。

歴史を感じつつ、穏やかな時間を過ごせる、地元の人に長く愛されてきた理由が分かる場所でした。

津堂城山古墳
住所:大阪府藤井寺市津堂
アクセス:近鉄南大阪線「藤井寺駅」から徒歩約19分
駐車場:なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。