日々、街の景色が少しずつ変わっていくなかで、変わらず同じ場所にお店があることに「ありがたいな」と感じることはありませんか。
待ち合わせや道案内の目印として、そして何より、いつ訪れても変わらぬ味と温かさで迎えてくれる存在として、私たちの日常に寄り添ってくれる。
今回は、そんな長年愛され続ける藤井寺の老舗「御好味焼 志のぶ」を紹介します。
藤井寺駅から徒歩約2分の老舗

近鉄南大阪線・藤井寺駅の構内には、地元出身のイラストレーターであり絵本作家でもある長谷川義史さんが手がけた壁画があります。これは、藤井寺駅の開業100周年を記念して制作されたもので、地域の人々に親しまれているアート作品です。

そんな藤井寺駅の南出口を出て階段を降りると、すぐ目の前に見えてくるのが御好味焼 志のぶ。
地元の人の間では、藤井寺駅周辺を説明するときに「志のぶ側」「反対側」といった場所の目印として使われることもあるほどです。戦後まもなくから営業を続けるこのお店は、味だけでなく、まちの“道しるべ”としても愛されてきました。
人気ドラマのロケ地にもなった、味わい深い店内

席に案内してもらうとすぐに、お冷とおしぼりに加えて、お箸と小さなコテまで丁寧に用意くださいます。どこか懐かしさを感じるレトロで落ち着いた店内は、「これぞ大阪のお好み焼き屋さん」といった温かみのある雰囲気。
過去には人気テレビドラマの撮影にも使われたことがあるそうです。

メニューには、まるで昭和のまま時が止まったかのような良心的な価格が並びます。
やさい、いか、えび、肉など種類豊富なお好み焼きのなかから、私はミックス焼きと肉焼きそばを注文してみました。

目の前で焼かれるお好み焼きがおいしい!
志のぶでは、注文を受けてからお店の方が席の鉄板でお好み焼きを焼き上げててくれます。じゅうじゅうと音を立てながら目の前で仕上がっていく様子は、まさに大阪のお好み焼き屋さんの醍醐味。

焼きそばを注文すると、なんと玉子がついてきます。目玉焼きにするか、溶き玉子にくぐらせて食べるかを選べるスタイル。私は後者を選んでみました。

店内では、常連さんとおもわれるサラリーマンの方がお好み焼きとうどんを味わっている姿も。ボリューム満点で価格も手頃なため、近隣の会社員にも人気のお店のようです。
座席には好きなだけ使えるかつお節と青のりが常備されています。焼きたての焼きそばに振りかけると、かつお節が踊り、鉄板に焦げたソースの香ばしい匂いが食欲をかきたてます。

ミックス焼きには、豚・いか・肉・えびがたっぷりと入っていて一口ごとに異なる食感が楽しめます。
キャベツが控えめで生地が主役のお好み焼きは、もっちりとした食感が特徴。おそらく山芋がふんだんに使われているのではと感じるやさしい口当たりでした。

肉そばは、溶いた玉子をからめて食べると喉ごしがなめらかで、まるで飲み物のようでした。中太麺がキャベツや肉などの具材とソースによく絡んでおいしいです。
さらに、ソースは2種類用意されており、座席においてある辛口のソースを途中でかけるとピリッとした味変まで楽しめます。ただしこの辛口、想像以上に辛いので、使用量にはご注意を。

御好味焼 志のぶでは、お好み焼きや焼きそばのほか、ぜんざい、うどん、季節限定のかき氷などのメニューも用意されています。かつてのお好み焼き屋さんが甘味処も兼ねていたころの名残を感じる、どこか懐かしいラインナップです。
大阪の粉もんを味わいたいときはもちろん、ゆったりとした時間の流れるレトロな空間で、地元で長く愛され続ける温かさを感じたいときにも、ぜひ訪れてみてください。
御好味焼 志のぶ
住所:大阪府藤井寺市藤井寺1-1-1
アクセス:近鉄南大阪線「藤井寺駅」から徒歩約2分
TEL:072-955-0538
営業時間:10:30-19:00
定休日:水曜日
駐車場:なし



















